「宝塚を愛する気持ちは真実」 雪組トップ・彩風咲奈さん退団会見
宝塚歌劇団を2024年10月に退団すると発表した、雪組トップスターの彩風咲奈(あやかぜ・さきな)さんが27日、大阪市内で記者会見を開いた。白いスーツ姿で臨んだ彩風さんは「最後の日まで大好きな雪組の男役として、芸の道をまっとうしたい」と語った。
彩風さんは退団について「トップ就任時から(いつがよいか)考えていた」と説明。強く意識したのは、梅田芸術劇場(大阪市)で22年夏に上演した「ODYSSEY」の時といい、「お客様が温かくて、今でも思い出すと涙が出るくらい幸せな公演でした」とほほ笑んだ。「コロナやいろんなことがありましたが、自分が今何をすべきかずっと問い続けて、どんな状況の時も皆さまと雪組と宝塚を愛する気持ち、これだけは真実だと思っています」と話した。
雪組のメンバーには会見の少し前に伝えたといい「自分はかっこいいトップスターじゃなかった。自分をさらけ出せる環境をみんなが作ってくれた」と感謝した。相手役の夢白あやさんには「自分の宝塚人生をまっとうしたと思える時に退団してほしい」と話したといい、夢白さんからは残留の意向を伝えられたという。
宙(そら)組の劇団員が9月に死亡した問題を受け、11、12月の宝塚大劇場公演が一部休演。「お客さまはいつもそばにいてくださったんだと、改めて実感する公演でした」と話した。今後、歌劇団にどのように変わってほしいかという質問に対して「歌劇団に望むというよりは、私たちは一回一回の舞台をお客さまにお届けするのが一番。卒業するその日まで、お客さまに何をお届けできるのか、感謝の気持ちと愛をどのようにお届けできるのかで、頭と心がいっぱいです」と話した。
会見には、12月に理事長に就任した村上浩爾氏が同席。冒頭に「現在の宝塚の状況につきまして大変ご心配をおかけしておりますこと、おわび申し上げます」とあいさつしたうえで、「彩風の退団以外についてコメントすることは差し控えさせていただきたい」と話した。
彩風さんは愛媛県大洲市出身で、07年に93期の首席で入団。新人公演で5度主役を務めるなど、早くから抜てきされた。21年4月にトップスターに就任。朝月希和さんとのコンビで、人気漫画が原作の「CITY HUNTER」や、浅田次郎さんの長編小説を舞台化した「蒼穹(そうきゅう)の昴(すばる)」などの話題作に出演した。
22年7、8月の「ODYSSEY」では、長い手足を生かしたダイナミックなダンスで魅了した。22年末に2人目の相手役として10期下の夢白さんを迎え、「BONNIE&CLYDE」などで好評を博した。
退団公演は、24年7~10月に宝塚大劇場と東京宝塚劇場で上演される「ベルサイユのばら」。宝塚の代表作ともいえる作品で、フェルゼン編に出演する。【水津聡子】
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